また訪問診療の現場では、通常の病院外来と異なり、医師が患者さんの生活の場を直接見ることができます。「この病気は進行性の病気であり、病状が進行していくとこの先この段差が厳しくなってくる。だから今のうちに生活の場をリビングに移そう」など、医学的知識に基づきながらも、必ずしも薬に頼らない提案こそがご本人の生活をグッと楽にすることになることもあります。認知症の患者さんには、記憶力を支援する薬物治療、認知症の周辺症状と呼ばれる易怒性やうつ症状などに対する薬物治療とともに、家族へのサポートや介護サービスの導入を勧めることも多いです。