当院では、末期がん患者さんや心不全の患者さん・呼吸器疾患の患者さんに対する緩和ケアを積極的に行っています。私は訪問診療に携わる中で、現在まで多くのがん患者さんを診察・治療を行ってきました。大きな病院から紹介されることが殆どです。しかし、痛みや苦痛が全くなく、しっかりと症状がコントロールされている患者さんは残念ながら多くない、という事態を目の当たりにしました。
多くの患者さんは、大病院の先生の外来診察が非常に混んでいることなどから、医師に遠慮して本当に苦しんでいる症状を訴えることができていないのです。また残念ながら依然として、「緩和ケア」という言葉自体が治療を断念することをイメージさせてしまうために忌避感がある、そのような現実も実感しています。